不知火(しらぬい)

リビングに芳しい香りが漂っている。
つい先ほど、郷里の幼馴染から不知火ミカンが届いた。

すぐお礼の電話をかけたら、開口一番
「シワ、増えたか?」
と言う。
「アイロン掛けしてるからネ、ないよ」
ありがとうを言う前にこんな会話が飛び交う。
彼は以前に書いた、カーネーションの送り主である。
今年の年賀状No.1でもあった。

不知火の産地、市場町のことを私はよく知らないが、デコポンを栽培している同級生がいる。
デコポンと不知火は同じ種だと思っているが、どうなんだろう。

送り主のM君の話によると、不知火は今出荷が始まったところで、4月ごろまで続くらしい。
生産者が友達で、遊びに行った時ふと私の顔を思い出したので送った、とのこと。

不知火を頬張りながら、プレゼントはこうあって欲しい、とつくづく思う。
相手が喜んで食べるであろうものを、旬の季節に届ける。
もし旬のものが手に入らなかったら、1年中出回っているものでもいい。

実はお菓子ほど選ぶに難しいものはないのだ。
洋菓子が苦手な人にチョコレートを贈ったり、アンコがダメな人に和菓子を持って行っても、困惑されるだけだ。

その点果物なら、それもポピュラーなりんご・ぶどう・なし・みかん等はいつでもどれか店頭にある。
果物をいらんという人は滅多にいないだろう。

1,000円しか予算がないとしてもりんご3個は買える。
2個でもいいのだ。
お菓子をもらうよりは。

滅多に手に入らないお菓子を頂くことがある。
それは大いに歓迎している。
相手の好みを熟知している人にしか、出来ない技ではあるが。

M君が思い出してくれた私の顔って、ひょっとしてシワシワ?
そう思うと何となく可笑しい。

(玉麗)

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