玉麗のお話「テラとムン ⑦耳鳴り」

「ムンちゃん、寝つかれへん日ってある?」

「たまにあるけど・・・。テラさん神経質やからしょっ中あるようやね」

「さすが、半世紀!アハッ これ常套句になったァ?」

「羊数えたりする?」

「まさか!よけい目ェ覚めるよ。
あのな、歌うねン」

「エエーッ  何歌うの?」

「丘を〜越えてェ 行こよ、  え〜〜次忘れた・・・・」

「なんか、古すぎて思い出されへんのと違う?」

「古ないよ、キムタクが出てるコマーシャル、馬で走るのん、知らん?」

「充分古いよ」

「いや、マア、昨日今日とは言えんな」

「歌ったら眠れるの?」

「歩くねん、家ン中。
丘を〜越えてェ 行こよ〜〜って。
違うねん、コレが言いたかったんやのうて、ゆうべ眠れンかった話、騒音で」

「大きい音したん?」

「いや、ワアーン  ワアン ワアンって響く音やった。家中が
誰や、こんな時間にウルサイなあ思うたらだんだん腹立ってきてナ、ますます寝つかれへん。
相方居たら、ちょっと文句言うてきてって頼むとこやけど・・・」

「テラさんも私も1人住まいやもんね」

「自分の部屋に入ったら一段と大きいなって、ア、もう今夜はアカンわって、
そう思うたとたん、気がついた!」

「何に?」

「耳鳴りや。自分の耳が鳴ってんねんから、そりゃウルサイわ。
血圧高いかも思うて計ったらナ、180あってん!」

「アブナイなあ、どっか切れたら倒れるやんか」

「切れてん」

「どこが?」

「目ン中。般若に変身してた!」

「毎日がアトラクションってこのことやね」

(玉麗)

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