アゲハが次々と羽化し、飛び立っている。
もう10頭ぐらいわが家のベランダから空へ向かって飛んで行った。
この子達は3〜5カ月近く(個体によって違う)サナギで越冬し、ようやくこの日を迎えた、大役を背負ったチョウである。
チョウ達は、羽根の生えた成虫では冬を越すことができない。
今この時期に、どこかでヒラヒラと飛んでいるモンシロチョウ、モンキチョウ、アゲハチョウを見かけたら、それは長い冬を寒さに耐え、寄生虫に卵を産み付けれることなく、鳥にも食べられなかった、奇跡の子達なのだ。
わが家では、保護していたサナギは天敵から守られていたが、自然の中ではほとんどが春を迎えることができない。
さらに、ペアが生き残っていないと、産卵は不可能だ。
この子達が卵を産み、それが育って初めて確固とした引き継ぎが可能になる。
1頭が何回産むのかは知らないが、1回に産み付ける卵の数は多い時で10個ほど。
ここから育つ数も自然の中では1匹か2匹、ほとんどが捕食者の餌食になる。
それでも生き残った子はDNAが命じるままに、相方を見つけ、次世代の卵を柑橘の葉に産み付ける。
延々と続いてきたことを、これからもずっと続けようとする生きもの達。
大きなアゲハを見かけたら、きっとその子は、充分に美味しい葉が食べられる環境だったのだろうと思う。
小さな子の場合は、葉が不足していたか、硬い葉しかなかったのだろう。
彼らは食草がある所へ歩いていける訳ではない。
親アゲハが産み付けた場所が運命の地なのだ。
生きものに関わると。考えさせられる。
考えても仕方ないことが大半であるが、それでもやはり・・・・・。
3日間、寝たり起きたりしていた。
疲れが溜まってくる春、昨夜は耳鳴りが頭の中でワアーンと響き、眠れなかった。
体力のない体を持て余している。
これも春の悩みのひとつではある。
(玉麗)