玉麗のお話「テラとムン11:実が成る」

「ムンちゃん!リンゴが成ってん!」

「リンゴってどこに?」

「青森とちゃうよ、ウチのベランダ。アルプス乙女って言うねんて。」

「へェ、かわいい名前やんか。」

「友達がナ、プレゼントしてくれた。」

「イヤァ、ええ友達持ってんねェ。」

「ミカンの実も成ってるよお。きゅうりも3センチの実ィつけてる。」

「うわっスゴイなあ。うちの地植えより優秀やわ。」

「さらに、私の左足にも実が成ってんの!」

「それってテラさん、実がはいるって言わン?」

「そうとも言う。」

「そうとも言うって、何したん、左足だけに実がはいるやなんて。」

「連休に大坂城行ったらナ、エライ人で、かき分けかき分け斜め歩き
……そしたらこんなことになってしもた。」

「そりゃ災難やったね。りんご赤うなったら1個ちょうだい。」

「ええよ。20個成ってるから、3個ぐらいあげるヮ。」

「ほんま。エ?どんだけ大きいの、その木?」

「今、かご持って行こかって思うたやろ?お猪口ちょこでエエよ。」

「お猪口ちょこって、ナンデ?」

「アルプス乙女って姫リンゴやで」

(玉麗)

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