「ムンちゃん!リンゴが成ってん!」
「リンゴってどこに?」
「青森とちゃうよ、ウチのベランダ。アルプス乙女って言うねんて。」
「へェ、かわいい名前やんか。」
「友達がナ、プレゼントしてくれた。」
「イヤァ、ええ友達持ってんねェ。」
「ミカンの実も成ってるよお。きゅうりも3センチの実ィつけてる。」
「うわっスゴイなあ。うちの地植えより優秀やわ。」
「さらに、私の左足にも実が成ってんの!」
「それってテラさん、実がはいるって言わン?」
「そうとも言う。」
「そうとも言うって、何したん、左足だけに実がはいるやなんて。」
「連休に大坂城行ったらナ、エライ人で、かき分けかき分け斜め歩き
……そしたらこんなことになってしもた。」
「そりゃ災難やったね。りんご赤うなったら1個ちょうだい。」
「ええよ。20個成ってるから、3個ぐらいあげるヮ。」
「ほんま。エ?どんだけ大きいの、その木?」
「今、かご持って行こかって思うたやろ?お猪口でエエよ。」
「お猪口って、ナンデ?」
「アルプス乙女って姫リンゴやで」
(玉麗)