今日か明日か。
良いことを待っているなら嬉しいが、そうではない。
夜に冷気が下りてきて朝が涼しいのは今だけで、もうすぐ昼も夜もとにかく1日中暑い日が続くようになる。
蒸し暑い時にスイッチを入れると、サーっと冷気が漂ってホッとする。
しかしそれはほんのしばらくの間で、そのうち骨まで寒くなる。
寒いというより痛くなる。
娘はこの感覚がわからない。
私も昔からこうだった訳ではなく、いつの頃からか始まった。
「骨まで愛して」という歌があった。
『おまえ死んでも墓へはやらぬ 焼いて粉にして白湯で飲む・・・』
と吟遊詩人は詩った。
この口説き文句の原点は都々逸(どどいつ)※で、
「墓」は「寺」、「白湯(さゆ)」は「酒」らしいが、そんなことはどうでもいい。
「骨」から思い出す言葉を書いたまでなので。
その骨が、クーラーの冷気に悲鳴を上げる。
スイッチをオフにするしかない。
そのうちまた暑くなる。
点ける・消すが思いのままになれば問題ないのだが、頻繁に続くことには、今の機器は対応しきれない。
斯くして、これからしばらくの間、私の安住の場所はどこにもないのだ。
我が家のベランダ森から吹き渡って来る風が、なんと心地良いことか。
『もうすぐオマエには地獄の業火に喘ぐ日々がやってくる。その前の僅かな数刻を充分楽しむが良い』
炎帝の声が雲の向こうから聞こえてくる。
ため息をつきつつ、1枚 ブログを書き上げた。
(玉麗)
※『お前死んでも〜』は、江戸末期に流行った口語による「都々逸(どどいつ)」という定型詩。
七・七・七・五で作られることが多い。