年の初め

今朝起き上がると何となく体中が痛い。動き出したら気にならなくなったが、そうか、ハル騒動だと思い当たったのは遅い朝食の途中のこと。

正月2日、私達は散歩がてら帝国ホテルへ向かった。もちろん2日はもう長年続けている描き初めの日、この日は早く起きて洗濯をすませ、墨をすった。

遅れて起きてきた娘と朝食をとった後、すぐ筆を握る。特別教室用の手本を描いた。やっと普通に食べられるようになったので、カフェで昼食をしようとなった。

ゆっくり食事をし、地下のお店をのぞいたりしながら、さて帰りますかと川沿いの道へ出た。

ア、風太くんやと娘が指す方角を見ると、黒い犬が樹木の間で見え隠れしている。

しかし速い。

私達は早足になってもついていけず、走った。

飼い主さんは急いでいる風はないが、私達よりはるかに足が長いようだ。

黒い犬は前に行ったり戻ったりしながら、跳ねるように動いている。間違いない、ピンシャーだ。

「あの・・・すみません」

私は声をかけた。

怪訝そうに振り向いた男性は「何か・・・」と言ったので、「あの、ピンシャーが、黒い犬が、以前飼っていたのとそっくりで・・・」しどろもどろなのは、走って息が切れていたからだ。

「ああ、そうですか、ハルーーッ」

階段を駆け上がっていって見えない犬に向かって呼んでくれた。

それからのことは昨日書いた。

ハル君との出会いは、今年良いことがやってくる予兆のように思える。

(玉麗)

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