ホッチキス紛失

いろんなものが失せる。
なくなるのではない。
どこに入れたのかが思い出せないのだ。

今のところまだ軽症ではあると自己診断している。
メガネを掛けて捜すことはまだないので。

どんなものが見当たらなくなるかと言うと、結構長い間使わなかったものであることが多い。

先日ホッチキスを捜し回った。
小さいのはあるが、仕事で使う(たまーに)デカいのが見当たらない。

ずっと同じ場所に置いていたが、そこを片付けた時どこかへ移動した。
移動する時、どこそこへ移動と書いて元の場所に貼っておく。
その紙がはがれてどこかへ行ってしまったようだ。

こうなったら娘に要請するしかない。
彼女は捜しものの名人である。
いつもなら「見つけたら100円」と娘の方が言う。

今回は、今どうしてもソレが必要なので、
「捜し出してくれたら1万円!!」
と言った。

「ホンマ?ウソやろ」
「ホンマ、出すって」

彼女は仕事の手を止めて、半信半疑で捜し始めた。

ほどなく、
「あった!1万円」
と言ったのは娘ではなく私。

ちょっと視点を変えて、この前使った時のことを思い浮かべたのだ。
使った後、下の方へは置かなかった。
ウン、まだいける。
思い出す力は、充分ではないがマアマア残っている。

斬くして、私はサイフから1万円を娘に支払うことなく、ホッチキスを使うことが出来た。
めでたし???

(玉麗)

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