【重要】秋蘭(四君子)を描きましょう

8月2回目の画題は、「秋蘭」です。

蘭は、水墨画の画題の中で「四君子」と呼ばれる4種類の植物のうちの1つであり、その4つの中でもさらに1番難しい技術を必要とされます。
つまり、蘭は水墨画で描くテーマの中で、トップオブトップといえる存在なのです。

蘭の花が難しいのは、ルールがあるからです。

そのルールとは?
色々ありますが、ここでは最重要ルールの2つをご紹介します。

↑太く描いた3本の葉が、破鳳眼の形です

 

・ルールその1『破鳳眼』(はほうがん)

「蘭の葉を描く際に、この3本の葉の組み合わせを必ず描くこと」

2本の葉で鳳凰の眼のような細長い形を作り、3本目の葉でその中を通らせる。(眼を破る)

なんでこの形を描くんですか?と思った方。
それが「ルール」、便利な公式のようなものです。

ビシッと決まる構図を考えることはとても難しく、試行錯誤を繰り返す必要があります。
でも、こんなふうにここはこれを使います、と言われたらむしろ楽だと思いませんか?

とはいえ、葉はとても難しいので、何度も描いて練習してみてください。
今回は省略しましたがまた機会があれば、まだある葉っぱのルールを披露したいと思います。

破鳳眼については、下の動画で実際に描きながら解説していますので参考にしてください。

・ルールその2『花の運筆』

「蘭の花らしい透明感を出すために、決まった運筆方法がある」

少し変わった方法で、とき皿の顔彩を取ります。
普段は、顔彩の端をなめるように筆を一方通行に動かして取りますが、とき皿に取った顔彩の中心を縦にまっすぐ取ります。

そのままクルッと筆の面をひっくり返して、顔彩のついた面を上にして、花を描きます。
すると、フチがあって真ん中は薄い、透けたような仕上がりの花びらが出来上がるのです。

ただ透明感を出すだけであれば、長年の技術は必要ありません。
水、筆、とき皿の顔彩、取り方、それらが全て正しく完璧にできていれば、ちゃんと透け感のある蘭の花を描くことができます。

(文だけの説明ではわかりにくいと思うので、秋蘭のレッスンをお休みした方は、教室で尋ねてください。運筆手本を披露します)

いつもの、濃淡を作る技術と考え方は同じです。
ちなみに、いまだに濃淡が全く出ません!という方は、下記をチェックしてみてください。
・筆が汚れている
・顔彩をベタッと取りすぎている
・筆に水分が多すぎる
・とき皿が汚い
・水も汚い
・タオルも汚い!
などなど・・・技術そのものよりも、道具の扱いガサツになってくると、濃淡は出にくくなります。

この世の森羅万象がそうであるように、水墨画も、科学的な側面を持っています。

長い経験を積まないとなかなか描けない「水墨画ならではの味わい」というものはもちろんありますが、水、墨、筆、和紙などの性格(特性)をちゃんと考えて、うまくそれらを使うことで、素晴らしい作品を生み出すことができます。

水墨画って、アート的な要素とサイエンス的な要素が絶妙に混ざり合う、絵画の中ではいちばん興味深いジャンルじゃないかなあ、と私は思うのです。

(雪)

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