私、失敗させないので

ある教室で、2年ほど先輩の会員が新入生と話していた。

 

「特別教室へ行ってきてん。いいお軸が出来たよ」

「いいナァ、私はまだ未熟やから、無理ですよねェ」

「そんなことないよ。先生がちゃんと指導して下さるから、ヤル気さえあればOK!行っておいでよ」

「でも、失敗するかもしれないし・・・・・」

 

ここぞ、とばかりに話に割り込んだ。

 

「大丈夫、私、失敗させないので」

「エーーッ!テレビドラマみたいですネ」

「うん、うん、アレね。“私、失敗しないので” っていう外科医の、でしょ」

「そうです、そうです。“私、失敗させないので”って、もっとカッコいいです!」

周りの人達におおいにウケた。私も少し鼻が高くなった。

ハイ、絶対に失敗させません!

 

水墨画は修正の出来ない絵画である。

しかしそれは、どう修正すればよいか、どこに筆を加えればよいかがわからないだけのことであって、教室でも私達が加筆することによって、見違えるように変化することを皆さん、体験しているはずだ。

特別教室では、時間をかけて吟味しながら仕上げていく。それゆえ、さらに奥行きのある絵が出来上がる。

描いた人が、“失敗”と落ち込んだ個所を、“ワアッ!”と浮き上がるように仕上げるのが、私の仕事だと認識している。

(玉麗)

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