本屋さんが好きです。
本が好きなのですが、本屋さん自体も好きです。
本屋さんがあれば立ち寄ってはみるものの、買うには至らず出てしまいます。いつのころからかずっとこんな調子です。
本屋さんにずっといると疲れてしまうのです。
なぜだろう?
本たちから発せられる無言の言葉に、息がつまりそうになるのです。
(とりあえず、いちばん売れてる俺にしときなって、本屋が選ぶなんとかで1位だよ!)
(私、私よ!この表紙みてみて、話題のイラストレーターとのコラボ、すごくな〜い)
(この数字すごいでしょ、びっくりした?販売部数はまだまだのびるわよ)
(すっごい面白いよオレ!どんでん返しに次ぐどんでん返しのどんでん返しづくしだから)
(1冊目がすごく売れたからさ、今しかない、と大急ぎで2冊目書いた!お待ち〜〜!)
(あたし、いまめっちゃ人気だよ、ほら有名人もいっぱいおすすめしてるし)
(頭の悪いあなたにもわかるように小難しい知識をチャチャッとまとめてありますよ)
(ちょっとちょっと、やせたいんでしょう?新しいダイエットあるのよ)
(ていうか、あなたモテたいわよね!?私が100のモテテク教えてあげるわ)
(それとも金儲け!?若くてイケメンで億万長者の俺のマネするだけで大儲けできるぜ)
(幸せになりたいなら、この本を買って私の言う通りにしてください 人生に愛を取り戻しましょう)
(世界の謎をぜーんぶ書いてみましたー この世の謎がなんとあなた、20分くらいで全部わかりますよーん)
(他のはぜんぶウソウソ!こっちこっちみてみて!みろってば!表紙に私の顔のせてるし!信用して!)
・・・・・・・
とまあこんな具合でしょうか。
親し気にツンツンと突かれたり、営業スマイル、大きな声でこちらの気を引いたり、まるで何かの呼び込みみたい。最近の本屋さんにいるとこんな風な声が聞こえてくるように感じるのです。
実際、ピンポーンといきなり店内放送が始まり、本の著者による「みなさんこんにちは!〜〜〜〜」という営業トークが何度も繰り返される本屋さんまでありますね。
いずれ本屋ソングなどが流れる日が来るのだろうか。電気屋さんやスーパーマーケットみたいに。
ああもう、うるさいなあ・・・・・・帰ろ。
となるのでした。
(雪)