
長居植物園で展示済みの植物がバックヤードに置かれていた。
見たことのない実を見つけた娘は、じぃっと見つめていたのだろう。
世話係のおじさんが「持って帰り」と、3コほどちぎってくれた。
3〜4年前のことだと記憶している。(※正:5年前)
真っ赤な実は楕円形で、白いすじが入っていた。
熟す前はきっとスイカみたいだったに違いない、とその時思った。
それはきっと秋から初冬にかけてのことで、可愛いウリ坊のような実は長いあいだ腐ることもなく、わが家の玄関を飾ってくれた。
そのうちすっかり熟れて、柔らかくなったので、グチャと崩れるのを恐れてベランダの鉢の土に乗せた。
翌年の春芽が出て、今までにわが家にはなかった葉に成長した。
かくして、オキナワスズメウリはわが家の植物の一員になった。1年目はいっぱい実をつけ、鈴成り状態となった。
実は希望者に分配し、各々のお家で育ったと報告が届いた。
次の年、虫がついた。
柔らかい葉はおいしいようで、一夜で半分以上の葉が虫食いになった。
育ててくれているお家からも連絡があった。葉が全部なくなりましたと。当然、実は成らない。
わが家はかろうじて3個ほど成熟し、翌年につないだが、昨年はダメであった。
絶滅かと思いきや、今年、初夏に芽が出た。どこかに何らかの形で残っていたのだろうか。
実は今のところ、10個余り。直径2〜3センチのスイカがブラ下がっているみたいだ。
寒くなって葉は少しずつ枯れてゆく。ツルと赤い実が残る。
飾りものにしたあと、来年早々に土の上に置こうと思っている。
(玉麗)