教室に入ったら、私達の机の上に小さな花達があふれていた。
「あ、Mさんですね」
「はい、『秋てんこ盛り』です」
黄と白の小菊、南天、柊、大蓼、杜鵑草(ホトトギスソウ)、紫式部。
秋の七草にちなんでだろうか、7種の花や実が活けられて、側に真っ赤に染まった柿の葉、その上にはドングリまで。
まさに秋満載である。
菊の香りかと思ったら、柊の白い小さな花からも芳香が漂っている。
その葉はよく見ると虫が食った跡がある。
こんなトゲトゲでも好む虫がいるンだと、頬が緩んだ。
庭の花々を摘み、オアシスに活け、小さな籠に入れて持ってきて下さったMさんの遊び心と優しさに感服!
リビングのカウンターの上に置いたら、通るたびに花達の息遣いが伝わってくるようだ。
これは描いておかないともったいない。
しかし、今は1月〜6月までの手本に集中しなければならない時。
写真に撮っておこう。いや、やっぱり活きた花を描く方がいいに決まっている。ジレンマとはこのことを言う。
なんて言っている間に描けばいいのだ。
(玉麗)