これはなんでしょうか。
薄暗い壁に貼られた、1枚のミステリアスなメモ。
誰が、何のために?
L字物さしとは一体、何でしょうか?
なにか別の物を示唆しているのでしょうか?
この後とは?
はい、これです。
と、L字物さしなるものをお見せしたいのはやまやまですが、それはもう二度と叶いません。
なぜなら、落ちたからです。
どこに?棚の後ろに!
棚の後ろ、ほんのわずかなすき間に吸い寄せられるように、L字物さしはゆっくりと消えてゆき、コトンと小さな音を立ててそれきりとなりました。
でも、その時の私の様子ときたら!
決してお見せできない悪態をつき、最後には「居なくなってせいせいした!」と言い放ちました。
私はL字物さしが、嫌いだったのです。
なぜって?
他の物さしと違って、L字になっていたため重力の関係でスッキリと筆立てに収納できないからです!
常にナナメにゆがんで、壁にだらしなくもたれかかる姿を見ては、心の中で忌々しく感じていたのです。
でも、嫌々ながらも紙をカットする際には、使っていたのです。
なぜって?
いちばん長くて金属製で頑丈、大きい紙をカットする時には、使わざるを得なかったからです。
やはり、私の愛情が足りていなかったせいでしょう。
物とはいえども、使う人間の気持ちというのは通じるもの。
どんなものにも「相性」はあるものなのです。
L字物さし・・・
あんなに怒ることもなかったね、許しておくれ。
(雪)