アゲハの幼虫(黒虫)が8匹も、リビングに取り込んだ鉢のみかんの木に住んでいる。
彼らが日々食糧にしているのは、私達が食べたみかんの種から成長した10センチほどの若木。
これが50本近くあった。
わが家で育ったアゲハは、飛び立つとまもなく産卵に帰ってくる。
そして、この小さな木に卵を産み付ける。
産みっぱなしで育てることはしない。
私達は彼らの代理親になって、育てている。
そのまま放っておけば、自然の摂理に従って、弱肉強食、他の虫の餌になったり鳥に食べられたり・・・。
アゲハとして飛んで行けるのは何%か。
たぶん100個の卵から10頭も育つまい。
こんな時期に、黒虫がいること自体無理な話なのだ。
リビングの片隅で小さな音を立てて葉をかじっている虫達を見ていると、無心になれる。
この子達はやがてグリン(青虫)になり、サナギになって越冬する。
今は、みかんの葉を食べることだけが、彼らの仕事なのだ。
葉を補充しようとベランダの植木鉢を見たら、いた!
冬の寒さに耐えて孵化し、7mmほどの大きさになっている。
たぶん、この子が今年最後の卵だったのだろう。
苗木を抜いて、黒虫ごとリビングの鉢に植えてやった。
9匹になった。
わが家は冬場エアコンを使わない。
エアコンの風がイヤで床暖と電気ストーブを併用している。
足もとは早くからONにしているが、ストーブは20度切ってから使用する。
だから部屋の温度はあまり高くない。
虫達が生息するにはあまり適していないが、外よりはマシだろう。
暖かい時に比べると、成長がゆっくりのような気がする。
それでも小さなパキパキ音がすると、心和む。
カエルと虫と私が、ひっそりと息をしている冬の午後。
(玉麗)