「猫の舌」と名付けられたクッキー、初めて口にした時、何歳だったのかは覚えていないが、衝撃的だった。
サクッとしているのに舌の上でホロホロとほどける感触、なんて美味しい!!
以来私は、サクッ、ホロッ、の2段構えの焼き菓子が大好物になった。
薄さも重要で、ラングドシャと銘打っていても、ほんの少しだけ厚みがあるとサク・ホロにはならない。
U君が持ってきてくれたリビエールのラング・ド・シャ。
これぞ本物である。
まさしく行列の出来るお店の味。
彼は母の日にもう1ツのクッキーを贈ってくれる。
それも逸品であるが、どちらかというと、今回のラング・ド・シャの方がより好みに合致している。
田舎で住んでいた子供の頃、叔母たちが神戸にいたから、お土産は普段は手に入らないおしゃれな洋菓子であった。
その品々のおいしさをちゃんと理解し、記憶に留めることのできる子供であったことを自負している。
大阪で暮らすようになってデパートへ行った時、お菓子売り場で探したもの、名前が出てこないがリング状のバタークリームのケーキ。
しかし残念なことに、当時の感動的おいしさは味わえなかった。
私の舌はすでに生クリームの味に魅了されていたからだ。
しかし、ラング・ド・シャは違う。
この店のサク・ホロは永遠である。
叔母たちはすでにこの世にいないが、初めて食べた美味しいクッキーの味はずっと舌に残っている。
リビエールのラング・ド・シャ、これだったのだ。
(玉麗)