ヒマができたら、サッと手にしてコツコツしていることがある。
ベストの前面に施された刺繍、それを取ってしまいたいとふと思った。
朝洗濯が終わった後、教室が始まる少し前、夕食後などほんの30分間くらい。
思いついた日から5、6日くらい経っているが、なかなか進まない。
普通に縫ったものなら1箇所切ればプツプツと縫い目が外れて、また次の縫い目を切る、となる。
ところが、これはそう簡単に外れてくれない。
クネクネと曲がってもいる。
1ツ1ツ縫い目を切っていかなくてはならない。
よくマアこんなシンキくさいことやってるワ、と半ば呆れながら、それでもひと目ひと目プツンプツンと切っていく。
まさか、この刺繍を取ってしまおうと考えるヒトが現れるとは、作った人はユメユメ思いもしなかっただろう。
これはたぶん、コンピュータミシンでジャーと縫ったものだろうから、取れるようにはできていないのだ。
それをせっせとやっているヒトがいる。
ヒトごとのように書くしかない。
あと何日かかるかナア・・・。
人というものは時として、妙なことを取り憑かれたようにやってしまうものなのです。
(玉麗)