腰痛ではあるが、一旦立てばどうってことない。
いや全くない訳ではなくしばらく変なカッコして歩くのだが、1分も経過すれば普通にシャンとなる。
腰かけると又おかしなことになる。
ヘルペスはどうしていても痛い。
そんな訳で家に篭っている私を見かねて、娘が「ちょっと散歩にでも行く」と誘ってくれた。
川の畔を歩いて対岸へ渡り、その辺をひとまわりしてきた。
外は風が吹けばけっこう寒い。
もっと大きなストールにすればよかったと思うくらいであったが、歩いているうちに体が暖かくなってきた。
この辺りでミニチュアピンシャーに会ったナア。
あの子なんていう名前だったかナア。
なかなか思い出せない私は、あいうえおから順に言ってみた。
娘はサッとスマホで調べたらしく、正解に近づいたらヒント出してあげると言う。
かきくけこ、さ行、た行、な行、・・・
「は」と言ったら、ピコピコ、と娘。
同時に「ハル!!」と名前が出た。
ハル君だ。
風太にちょっぴり似たその犬は、風太とはちっとも似ていない人懐こさの持ち主で、私達にすぐ馴れた。
顔をなめる、膝に乗る、抱っこさせてくれる、それはもうサービス満点であった。


飼い主も気のいいオジサンで、おやつやって下さいと私達にササミを渡してくれたり・・・。
散々遊ばせてもらって、又会いたいねと別れたが、それ以来会うことはなかった。
もう3年前のことだ。
その辺りでブラブラしてハルくんを待ったが、今は散歩の時間ではないのだろう。
ひょっとして引っ越ししたかもしれない。
あの時は1歳でヤンチャ盛りであった。
今はもう4歳、すっかりおとなになっているンだろうナア。
「ハル君、会いたいです」とメモを書いて、橋の袂に置いておこうかな、と考えてたりしている。
でも腰が全治してからのほうが良いかもしれない。
ピンシャー犬のパワーに押されて尻餅ついた私を、ペロペロしているハルくんを容易に想像できる。
(玉麗)