モッコウバラが美しい季節である。
どこにでもあるというほどは見かけないが、咲いていると車で走っていても「あ、モッコウバラ!」と気づくことができる。
クリーム色のが圧倒的に多く、白いのを見つけると、うわっとうれしくなる。
娘がどこそこに咲いていたと教えてくれたら、自転車で行ける所なら見に行く。
10年以上にも前になると思うが、九州を旅行した際、この花のトンネルを通って感激し、そのフラワーパークの売店で買って送ってもらった。
2年目からみごとな花をつけ、あまりにも成長したので下の花壇に移植した。
毎年人の目を引くほどの花をつけ、ケータイを向けて撮る人、立ち止まって見る人、4月下旬から1週間あまりはモッコウバラが主役となる。
昨年の台風は突風が激しく、モッコウバラは支柱ごと倒れてしまった。
造園屋が忙しくて、2カ月近く放ったらかしにされたが、とても私の手に負える作業ではなかった。
作業当日、私は気になって見守っていた。
少し剪定します、とは言ったが、バッサバッサと切られるのを見て、心傷んだ。切られた枝の良い所を持ち帰って挿木にした。
モッコウバラを各地で見ても、“ウチのがいちばん美しい”と思う。
花のかたまりがとても大きい。
色がきれい。
身びいきしている。
毎日のように見に行っては、「きれいねェ、あんなに切られたのによく咲いたね」と話しかけている。
モッコウバラの下方一面に広がるイベリスにも、声かけを忘れない。
花は愛でると、必ず応えてくれる。
(玉麗)