嵐が少し吹き、天気が良くなると、わが家は明るくて私には眩しすぎる。
ベランダのロールスクリーンのひもを解いた。窓にはスダレをつけた。(内側に)毎年思うことだが、この濃い緑のロールスクリーンを少し下ろすと、一挙にリゾート気分になる。
木々が緑をつややかに広げ花々が咲き、空はすこぶる付きの好天気。どこかへ出かけなくても、わが家で充分その気になっている。安上がりのヒトである。
ベランダに小さなテーブルとイスを出してお茶を、と気取りたいところだが、いつ何どき階下からタバコの煙が上がってくるかわからない。残念ながらリビングから眺めるだけで我慢することにしよう。
夏の陽射しが強くなる前のほんの僅かな期間、初夏と呼ばれる季節が始まろうとしている。
今年の春は寒い日が多かったので、縮こまっていた人々が一斉に戸外へ繰り出す。
「10連休はどこか行かれますか」
とよく聞かれるが、
「仕事です」
気の毒に、というような顔をされながら、私はエンエンと手本を描き続けるヒトになる。
(玉麗)