雨で涼しいうちに、ベランダのフェイクアイビーをとっ払ってしまおう。
脚立を出して、アイビーを網に固定しているビニタイをはずしていく。
視界が広がって明るくなる。
この作業も分類で言えば、「ねばならぬ」のカテゴリーに入る。
イヤではないが、アイビーを付けたりはずしたりすることが趣味では決してない。
絵を描くことも、描きたいと思って始める時と、しなけなければならない仕事として描く場合とがある。
「ねばならぬ」人生をひた走ってきた私は、10年程前から疲れを感じるようになり、最近はかなりヘバっている。
好きなことだけをして日々を過ごせたらいいだろうナア、と時々思ったりもする。
1ヵ月の内10日余りは、そうした自由を味わっていられるようになったが、まだ私の責任範囲は決して小さくない。
ずっと仕事を続けられるなんて素晴しいことだと、無責任なことを言う輩がいるが、それは仕事とは言えないものだ。
仕事には矜持と責任が伴う。
つまり「疲れること」なのだ。
「疲れること」をずっと続ける気力がさていつまで持つか?
雨が降る日、人は思慮深くなる。
いろいろなことをツラツラ考え込んでしまう。
でも明日は、晴れではなくても雨は止む。
私の気力も少しは増強されることだろう。
アイビーを取ると光が溢れるようになる。
ひょっとして、ちょっと早すぎたかしらんとなるやもしれぬ。
(玉麗)