昨日のつづきをお話しします。
「新横浜駅」で新幹線を降り、JRで少し西へ戻る形で神奈川県藤沢市というところへ向かいました。
私の次のミッションは、美容院へ行くことでした。
到着時刻に合わせ、予約をしておいたのです。
美容院てどこの?
大阪に居て、神奈川県の美容院の予約を入れる。
旅の余白時間をうまく利用したこのスケジュール調整は、美容院嫌いで、美容院ジプシーの私だからこその離れワザともいえましょう。
日常的な行動も、初めての土地で体験すればまた新鮮で、それだけで旅の思い出にもなるものです。
そうやって私は、非日常感をうまく創り出すことができる、社会の役には立たないが自分の機嫌は取れる才能があるようです。
大阪から来ました、と告げてもテンションがあまり変わらないクールな美容師さんに、カットとカラーをしてもらいました。
藤沢市といえば海。
海へ行きたいが歩いて行けますかと尋ねると、30分くらいで行けないことはないだろうとのことでした。
しかし私の野生的カンが、歩きは無理だと囁きます。
まずホテルでチェックインして荷物を置くと、レンタルサイクルを借りることに決めました。
便利なレンタルサイクルはあちこちにあり、しかも電動です。
自転車を借りることも、電動サイクルも初めての私は緊張しながら、無人の設置場所で15分ほどアプリと格闘し、なんとか出発。
3段階の切り替えスイッチがあります。
節約モード
オートマチックモード
フルパワーモード
平坦な道では堅実に節約モードで行くことにしました。
バッテリーがどのくらいの使用でどのくらい減るのかのデータがない。
なにせ知らない土地、しかも電動自転車ビギナーですから、ここは慎重にいかねばなりません。
きれいにセットされた髪もなんのその、電動アシストされながら私は海までの道を爆走しました。
爆走しているはずが、ノーマルの自転車にぐいぐい追い越されるのはなぜでしょう。
節約モードだからか。
電動サイクルは本気を出していないのか。
湘南ならではのイカすビーチクルーザーに乗った人々が、だよね〜と笑いながら私の横を颯爽と走り抜けていきます。
軟弱者というワードが頭に浮かびます。
私は静かにスイッチをオートマチックモードに切り替えました。
信号で止まり、走り出す時に、グイッと後ろから押されたようなアシストがあり、ぐんぐんと自転車は進みます。
これが、電動アシスト・・・・・。
後ろに1人、前に1人、体の前に1人と合計3人もの子供を乗せて走るお母さんの自転車が、なぜあれほどパワフルなのか合点がいきました。
皆、アシストされていたのだ。
曇り空でしたが、海に着くと開放的な気分になりました。
土地土地に、それぞれ人の暮らしがある。
海の近くのこの街の人々は、どんなふうに毎日を過ごしているのだろう。
海が近くないところで生まれ育った私は、ちょっと羨ましく思いましたが、「いや、大阪には山がある。信貴山があるではないか」
そう思って、振り返ると海岸線のずうっと向こう、曇った空にぼんやりと富士山がそびえ立っていました。
葛飾北斎の気持ちになってしばし見つめます。
江ノ島へ向かって爆走していた私は、野生的カンで、今戻らねば約束の時間には間に合わないと思いました。
江ノ島よ、またこの次に。
帰りはフルパワーモード全開であったのは、言うまでもありません。
終わり。
(雪)