先日の大阪。
朝カミナリがドーンと鳴った日を覚えていらっしゃいますか?
8時くらいだったと思います。
そのドーンは、私の乗った電車に落ちたようです。
いや、落ちたのかどうかはわかりませんが、シュウ〜〜と電車が止まり、パサっと車内の電気が消えました。
ざわざわ・・・
気が動転したせいか、元々早口なせいか、何言ってんのかよくわからない車内アナウンスが流れ、とにかく落雷で停電してしばらく点検のため電車はストップする、という内容でした。
冷静な日本人と言われますが、さすがに朝のラッシュ。
その上もともと遅延していたようで、車内はギュウギュウです。
かろうじて女性専用車両に乗っていたせいか、まだ気は楽でしたが、キャリーケースを持ち、体が少しナナメの状態でおよそ20分そのまま待ち続けました。
「ナントカ主任につないでいただけますか?電車が落雷で停電して・・・」
仕事の電話をしている人が何人かいました。
私のミッションは、このあと新幹線に乗ることでした。
よくやった!と心の中で自分を褒め称えていたのは、少し余裕を持って家を出たことです。
いや、待てよ。
しかしそのせいで早い電車に乗ったため、落雷電車に運良く当たってしまったのだ。
これは・・・運が悪いのか?良いのか?
ようやく動き出した頃、そんなことはどうでもよくて、本当に時間は迫っていました。
大阪駅のまさに数メートル手前での落雷だったようです。
駅のホームは、また地獄の人混みで、階段は芸術的に隙間なく人で埋め尽くされ、キャリーケースを半ば持ち上げるようにしながら、ドンドン進みました。
幸い、京都線には影響はなく新幹線も普通の混み具合です。
しかし時間はもうあと5分。
新大阪駅に降り立つと、私の前に走る人々がいます。
きっとこれは同じのぞみに乗る同志に違いない。
私も追いかけるように走りました。
全く無駄のない見事な所作で人の間をすり抜け、改札を通り抜けたら、少し先を行く同志たちは階段を2段飛びの勢いで駆け上がっています。
何!
私も後に続きました。(1段ずつ)
野生的なカンで、のんびりエレベーターを待っている場合ではないと判断したのです。
ホームには、鉄郎を待つ999のごとく、私を待つのぞみ。
メーテルも黒い顔の車掌もいませんが、大袈裟でなく飛び乗ると、私の後ろでパシャーとドアが閉まりました。
私は同志たちに心から感謝しました。
走らなければ、確実に乗り遅れていた・・・・。
そんな首の皮1枚の差でした。
席に座ると友達からのLINE。
軽く、先ほどの顛末を伝えると、
『おつかれさーん!カチカチアイスでも食べてな』
京都を過ぎた頃、ワゴンがやってきました。
「アイス(カチカチは省略)ください」
汗もひき、冷静さを取り戻していた私は、本などを読みながらアイスをチラチラ気にしつつ、待ちました。
カチカチアイスに飛びつけば、(こいつはカチカチアイスのカチカチ具合を知らん新幹線ワゴンビギナーだ)と思われそうだったからです。
時々、思い出したように、スプーンでツンツンとつつきますが、びくともしません。
そうこうしているうちに、名古屋に到着しました。
隣の座席のおじさんが名古屋で降り、女性が乗ってきました。
20分は経過しています。
カチカチアイスは・・・・食べられるのだろうか?!
不安になった頃、隣の女性がワゴンで注文をしました。
何か知らないお菓子とコーヒーを注文しています。
気になりましたが、それよりアイスです。
ツンツン、ぐにゃ。
30分くらい経っていたかもしれません。
ようやく食べ頃の硬さになり、すでにカチカチではないアイス(バニラ)をやっと食べることができました。
それにしても、お茶を飲んだり、なんかちょっと食べたり、新幹線の中はものを食べる人が多い。
のぞみだと、新大阪から東京まで2時間30分です。
2時間30分というわずかな間でも、人は何か食べてしまうものなのだろうか。
アイスをモグモグしながらそんなことを考えていました。
いや、きっと電車の移動という特別な時間が、人に非日常感を与えるせいだろう。
では、非日常的空間では、何か口にしたくなるものなのだろうか。
外で食べるおにぎりは美味しいとか、そういうあれか・・・
・・・・
ハッと気づけば、私は寝ており、パシャという音で目覚めました。
読書をして冷静さを保ち、アイスを食べうたた寝をして、起きたら物も言わず富士山を撮影。
1人なので物は言わない方が正解でしょう。
楽しい新幹線の旅は、新横浜で終わりを告げます。
明日は東京で仕事(のようなもの)です。
今日は友達と会うため、少し手前の神奈川で過ごすのです。
終わり。
(雪)