ひょっとして、めんどくさいのではないか・・・・・・・??
ある教室で、目にした光景でふと私はそう思いました。
さて、「ボカシ」という作業。
皆さんおなじみだと思います。
「ボカシ」はコツがいるので、初心者の頃は難しく感じられます。
慣れている人にとっても「ボカシ」はやはり難しいものです。
一体何が難しいのか?
なんでなかなかうまくいかないのか?
ここで改めて、ボカシの手順を紹介します。
『これをしてはいけません』というNGポイントも挙げていますので、「ボカシがうまくいかない」とお悩みの人は、ご自分がNG行動をしていないかどうか、チェックしてみてください。
【必要なもの】
①ボカシブラシとボカシアミ
②新聞紙
※ボカシブラシは、毛の固い(鹿毛)ものを使ってください。
【作業手順】
①絵の下に新聞紙を敷く
さらに新聞紙を小さく折りたたんだままでは意味がありません。
②練習紙も用意する
いきなり本番でボカシ始めないように。
③絵の具や墨を、とき皿に用意する
特に水の量には気をつけて!
④とき皿の絵の具をボカシブラシでとり、まず練習紙で試します。
※④新聞紙で試しても良いですが、色の出具合などがわかりにくい場合は白い紙の上で確かめましょう。
※④必ずブラシが乾いた状態で絵の具を取ります。
⑤練習紙に試してみて、ボカシが出たら、本番の紙の方へ。
いざ本番、となるとブラシに絵の具をいーっぱいつけすぎる人が本当に多いです。
つけすぎないで!
以上が手順です。
ボカシは、上記のようにちゃんと手順を守らないと、きれいには出てくれません。
また、この記事だけではもひとつわからない、詳しく教えて欲しいという人は、教室で何でも質問してくださいね。
詳しく実演解説します。
ボカシができるメカニズムを理解しておかないと、たまたま上手くいってもいつか失敗するでしょう。
『ボカシができるメカニズム』
「少量の水で溶いた絵の具をブラシですくいとり、アミの上で絵の具を弾き飛ばすことによって、ミスト状になった絵の具がふわ〜っと紙の上に落ちる。」
ですから「水の量」が重要なポイントとなります。
水が少なすぎると、絵の具ばかり濃厚だと、上手くブラシにつけることができません。
=全然出てこない
水が多すぎると、出やすくなりますが、粒が大きく雑な状態に仕上がります。
また、余分な水分がブラシとアミの間にたまっていくと泡状になり、いつか落下します。
失敗を迎える時はどういう状態かご存じですか?
アミの下(上ではない)に絵の具がたまってアワアワができて、それがいつか「ポトッ」とあなたの絵の上に落下するのです。
一生懸命描いた絵の上に・・・・・・・
恐ろしいでしょう!
さて、冒頭のシーンに戻ります。
「ひょっとして、めんどくさいのではないか?」
私がそう思った光景とは、
とき皿の絵の具ではなく、顔彩箱の絵の具から直接ボカシ筆で取っているXさんの様子でした。
ボカシの作業は、たいてい絵を描き終わって、添削も済んだ後、最後の仕上げで行うことがほとんどです。
なので、みんな疲れているし、最後のオマケで付け足し、という感覚になりがちなので、
手を抜くのです。
「家に着くまでが遠足です」という小学生の頃の金言を思い出してください。
ボカシが込みで、1枚の絵なのです。
あと少し気を抜かず仕上げて欲しいです。
※ボカシの時のNG行為を見つけたら、私の怒号が教室に響き渡る可能性がありますので、ご注意ください。
たまたまNG行為を私に見つかり、お叱りを受けてビクッとしたIさんですが、次からとてもきれいにボカシができるようになりました。
叱責=愛のムチだと思って頂いて結構です。
普段は温厚な私がなぜボカシには目クジラを立てるかというと、ポトッと落ちた絵の具は、「ポトッと落ちた絵の具」でしかなく、いくら私たち優れた整形外科医の腕を持ってしても、どうすることもできません。
「あきらめてください(もう1枚描いてください)」
と言うしかないからなのです。
どうしようもないんです。
そしてショックを受けるのはあなたなのです。
さらにショックを受けるあなたを見て私もショックを受けるのです。
こんなネガティブな状況がありましょうか。
外科医としては、どんなオペも成功させたいのですよ!!
今回はホラー要素が強い内容となりましたね。
逆に言えば、手順さえ守っていれば失敗することはありませんから、安心してください。
皆さんがこわいこわいボカシの夢を見ませんように。
(雪)