晩白柚(バンペイユ)がスーパーの果物売場に山と積まれていた。
壮観である。
初めて見た時手に取って、どんな味なんだろうと興味をそそられた。
以後、毎年12月になるとこのデカみかんを買う。
1個700〜800円くらいするので、毎年少しばかり躊躇するが、私が買って売れ口をつけてやらねば・・・と妙な親近感を覚えて、手に入れる。
何も私がそんなことを考えずともポツポツ売れていくのだろうけれど、なぜかそう思ってしまうのだ。
ひょっとしたら・・・と思うことがある。
父の頭を思い出すのかもしれない。
父は「サザエさん」の波平さんよりももっと毛が少なかった。
頭髪と言えるかどうかわからないほどの毛が後の方にグルッとあるだけで、見事に禿げ上がっていた。
親友に散髪屋がいて、月に1度くらい出かける。
母と私は、「どこ刈るンやろ」と不思議であったが、サッパリした顔をして帰ってくるところを見ると、親友は他の人と変わらぬ丁寧な所作で散髪してくれたのだろう。
父の頭はこれほどまでに大きくはなかったかナアと思いながら、晩白柚の山から1ツを選んだ。
帰宅して皮を剥こうとしたがツメではとても無理とわかり、包丁を入れる。
2センチ以上皮とワタとで覆われている。
「今年のは味がうすいね」と娘が頷く。
あまりにも大きいので2房食べただけでもう充分という気分になる。
今日で教室は終了。
明日から年末、正月休みに入る。
果肉と爽やかな香気が新しい年を迎える気分につながっていく。
やっぱり買ってきてよかった。
(玉麗)