研究会のある日は朝早く目が覚める。
体が緊張しているのだろう。
描くのは会員達だから、私が緊張しなくてもいいのだけれど、実は描いている当人より机間巡回している私達の方がより張り詰めていると言ってもよい。
最初の挨拶の時、
「絶対に失敗させませんので、皆さんは安心して描き進めて下さい」
と言う。
「私、失敗しないので」という有名(?)なセリフがあるが、玉麗会では「失敗させない」をモットーとする。
研究会・特別教室を始めてから20年くらいになる。
のべ人数1,000人ぐらいは指導していると思う。
ほとんどの人が無事描き終え、添削して「ハイ、出来ました」となるが、紙面を汚した人、お軸の布の部分に墨を落とした人、いろいろあった。
その都度、本人は困惑し、慌てて、どうしようとオロオロしている。
私達が
「ワーッ! 大変なことになりましたねェ」
なんて言ってしまっては収拾がつかなくなる。
ホントは血圧が180ぐらいまでハネ上がっていても、涼しい顔をして言うのだ。
「大丈夫ですよ、なんとかしますから」
そして、実際になんとかなった自分の作品を見て喜ぶ当人。
「いいのが出来上がりましたネ、お疲れさま」
会員の笑顔と、このセリフのために、私は今朝早くから目覚めている。
緊張し、リラックスの体操などに余念が無い。
(玉麗)