山場を前に

忙しいと時間の観念が早送りになり、1日がとても短く、私は一体何をしていたのだろうと呆然となる。

年末が近づくと世間の時計も早く回る。
そんな時期に毎年干支を描いているのだから、よけい忙しい。

来年は卯年だが、私たちの頭の中ではもうすでに再来年の龍まで飛んで行っている。

龍は難しい、時間もかかる。
春から準備をしなければならないだろう。

月1回の教室で12枚の手本、娘の担当である。
その手本の龍を描いているのをチラリと横目で見る。
1ツだけアドバイスをしたら、ア、良くなったよ。

今回娘が描いた手本はどれも良かった。
親の欲目を抜きにしても、品格が上がってきたように思う。

私の手伝いをするようになり、助手に昇格し、今では私より教えるのが上手になってきた。
けれども手本としての絵は、手放しで褒めるほどではなかったが、もうかなりの域に達している、と言ってもよいだろう。

私が青息吐息になってきたのと入れ替わりになってきた。
世の中うまく出来ている。
いやそうでない場合の方がけっこう多いのだが、彼女は彼女なりの努力を実らせてきているのだ。

後継者がいなくては、仕事を畳んでしまわなければならない。
そんなことも少なくない時代に、娘がいつの間にか技術を継承してくれていることを、心に記しておこう。

今年もあと2カ月と10日ほど。
体を労わりながら、よろしく頼みます。

(玉麗)

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