名残の香り

天満宮の境内で買ってきた梅が、満開を過ぎようとしている。玄関の外へ置いてあったので、通るたび空気が動いていい香りがしていた。

梅の手入れ方法を書いた紙をもらってきたので、読むと、なるべく早い時期に花ガラを取ること、とある。

ちょっと触れるとハラハラ花びらが落ち、まだ咲いているのまでポロポロッと取れてしまった。

コロナウィルスのせいで外出がままならぬ。旅行好きの人が嘆いていた。
ヨドバシカメラがガラ空きでした、と誰かが言っていた。
デパートも同様で、春物商戦に大いに影響するだろう。
イベントも中止が続く。
連日、新聞・テレビで取り上げているのだから、気分が滅入るのも当然のことだ。

娘が言う。「春一番が吹いて、ウィルスを飛ばしてくれたらいいのに」
ウィルスは空気中に拡散されるように思われがちであるが、体から出てしまうと、そう長くは生きていられないのだそうで、閉鎖されたところの方がアブナイとか。
ならば、風が吹けば飛ばしてくれるかも、と期待するのもあながち誤った言い方ではないだろう。

1〜2週間で山を越すと言われているが、急激に暖かくなるとか大風でも吹かない限り、収まらないようにも思える。悲観的観測が急に終わることを願うばかりである。

人間達の右往左往をよそに、植物達は少しずつ活性化している。
水やりの時ようやく見ると、ペラルゴの葉の中央が蕾でいっぱいになっていた。

シクラメンが次々に花をつけ、真っ赤な椿がほころんでいる。昨年のブロッコリーや葉ボタンはどんどん伸びて黄色い花をつけた。菊の新芽がわさわさ出てきた。
今年期待している木、日向柑は花芽をつけるだろうか。

落ちた花と花びらを黒い盆に乗せ、水色の皿に水を張り浮かべて、薄くれないの名残りを楽しんでいる。
香りがうっすらと漂い、何とも豪華なしつらえとなった。

(玉麗)

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