11月がやってきて、もう数日過ぎた。この時期になると路地の花々が急激に数を減らし、淋しくなる。
常緑の樹木の下で、そこだけぽっと灯りが点いたような趣の花が咲く。石蕗(ツワブキ)である。
鮮烈な黄色が目を引くものの、華やかというのではない。どことなく控えめで“和の花”そのものである。訪問着ではなく、紬(つむぎ)をシャキッと来た切れ長の美人を思わせる。
けれどもけっこう力強い生命力を持ち、種を飛ばして花壇を移動する。植えたはずのない場所から今夏、若い葉っぱが出ているのに気がついた。
どんどん成長して、丈こそ短いもののりっぱな花々をつけた。冬枯れの花壇の中で活き活きと咲いている。
この花が咲く頃になると、あちこちで聞かれる言葉がある。
一年て早いねェ。もう年末がやってくる。
ほんとに。クリスマス商戦が賑やかになり、年末の大掃除の準備、お正月の用意。あと50日ほどで平成30年が終わる。
そして平成の時代ももうすぐ終了。新しい年号は何と定められるのか。私は昭和、平成、次の御世と3つの時代を生きるのだと思うと、感慨深い。
(玉麗)