電話1本で何でも届けてくれる通販は、大変便利であるが、ちょっとつまづくと大変面倒で、不要なお金を支払わなくてはならなくなる。
アレルギーが出たので、これは飲まないほうが良いだろうと、サプリを中止することになった。定期的に送ってくるものは10日前に通告しないと配達センターに回ってしまうので、この分は受け取って下さいと言う。
しかし飲まないものを、お金を支払って受け取ることはよしと出来ない。少し粘ると、では届いたら返品手続きを取って返送して下さいと。
ついさっき、モップを返送してきたばかり。1,620円支払って、長い名前の配送センターの住所等書いてきた。
もうイヤだ!
実は今までにも何度か思った。その時は決心するが、忘れた頃にまたしても注文してしまう。
絶対イヤだ!!
と決心しよう。
電話の横に、
「通販は買わない!」
と書いて貼っておいた。
そして、今まで買ったことのある品の会社から送られてくるダイレクトメールをチェックした。案内を送ってこないよう片っぱしから電話した。しつこく送ってくる会社もあるが、これで当分は心静かに暮らせる。
カウンターの端に、ピンシャーがメガネをかけたメガネ屋のパンフレットがある。心がザワついている時これを見ると、楽しい気分になる。
時々話しかける。
「風太くん、マルちゃん男の子だったんよー。ゆうべ、鳴いてん。全員男の子やったら、おたまじゃくし生まれへんねェ」
メガネをかけたピンシャーが、
「ふうん、そうなん」と言ってくれる。
「母さんね、通販買わないよ、もう」
「クッ クッ」
「ン?」
カエルハウスの中をのぞくと、マルコがスリムを踏んづけている。
「重たいよ、どいて」
スリムが言ったのだろう。私の決心を笑ったのではない。
(玉麗)