(お詫び:こちらは12月6日のブログ記事ですが、中身が抜けておりましたので再度アップします)
12月に入ってもまだ「冬!」という感覚がないままでしたが・・・昨日の雨で一気に冷え込んだようです。
風邪を引かぬよう、またコロナ・インフルエンザにも十分お気をつけ下さい。
今回の手本は、短冊です。
少し季節は違いますが「沈丁花(ジンチョウゲ)」と、梅の枝にとまる鶯(ウグイス)です。
沈丁花は、三大香木のひとつと言われるそうで、あとの2つは、「金木犀(キンモクセイ)」と「梔子(クチナシ)」です。
沈丁花はNさんのリクエストでした。
「いちばん好きな花なんです」とのことで、時間をかけて丁寧に描いておられましたね。
もうひとつの手本、「梅に鶯」ですが、このウグイスについて教室でお話ししていることがあります。
ウグイスは、「ホーホケキョ」という鳴き声で有名な鳥です。
しかし、その姿を見たことがありますか?と言われると・・・多くの人が「見たことがない」と答えるのではないでしょうか。
ウグイスを知る方は、「あまりきれいな鳥じゃない」と言います。
一方、こちら。
とても美しい緑色。
目の周りは白いフチ取りがあるため、すぐに「メジロだ」とわかります。
それをふまえて絵を見ると、ウグイスというよりメジロに近い色(黄草)を使って描いています。
「梅に鶯」は、日本の伝統的な絵の構図として古くから定着しているものであり、この2つの取り合わせは、誰もがごく自然にイメージしやすいデザインなのです。
花札の絵柄にもありますね。
でも実際のウグイスは地味な色をしているため、華やかな緑を使うことが定番となっているのです。
ですから、鳥に詳しい方が「これはメジロに見えますが、違いますか?」と聞いてきた場合は、「梅に鶯という、古典的な構図です。ウグイスは地味なのできれいな色を使うんです」と答えて頂けると良いかと思います。
じゃあいっそはじめから、「梅にメジロ」っていうことにすればいいんじゃない?と思う方もいるかもしれません。
梅にメジロでもかまわないと思います。
絵は人それぞれが見て、想像して、楽しむものです。
一般的な常識にとらわれず、オリジナリティを追求して独創的な絵を描く方もおられます。
ただ、私たちの描く絵は日本の伝統的な水墨画の技術や運筆、デザインをベースにしています。
玉麗先生の手本も、古典的なものから斬新なものまで、さまざまです。
「梅に鶯という手本は古典的な構図なんだな」ということを頭の片隅に置いておくと、よいかもしれません。
(雪)