ありがとう スヌーピー号

風太がわが家へやって来た年の冬、私たちは三菱自動車販売店へ行って、スヌーピー号と出会った。

パジェロミニ。
可愛くて、カッコ良くて、よく走ってくれた。
過去形になったのは、今日で21年の勤続を終えたからだ。

この車は、風太と共に在った。
わが家の愛犬はこの車に乗るのが大好きで、スヌーピー号に乗る時はどこか遠くへ連れて行ってもらえることを知っていた。

21年間のうちの15年と8カ月を、風太とスヌーピーと一緒に過ごした。
風太はこの車に乗って葬送され、小さな骨壷に入ってまた私達の元へ帰ってきた。
遺影が「もうどこへも行かないよ」と言っている。

風太に代わる家族はいない。
カエル達もアゲハ達も、風太に敬意を払いながらここにいる。

そして、スヌーピー号も本日をもって役目を終了した。

パジェロミニスヌーピーがわが家にいたことを記念するために、娘は補助タイヤカバーを持って帰ってくるはずだ。

昨日娘は、洗車に行ってくると言って出かけた。
21年間、1度たりとも故障しなかった車を、彼女は心込めて磨き上げたに違いない。

冬の陽を浴びたパジェロミニは、新車と見まごうばかりに輝いていた。

(玉麗)

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