ネムノキは細い小さな葉がびっしり付いていて、夜になるとそれらがみな力が抜けたようにフニャとなる。
人が触っても同じような状態になる。
不思議な木だ。
進化の過程で、そうなった方がネムノキにとって都合が良かったからに違いない。
そんな木は何種類かあるらしく、ネムノキ属と呼ばれている。
昔、西田佐知子が「アカシアの雨」を歌った。
その歌でのアカシアはどのアカシアだったのだろう。
ほとんどの人が思い浮かべるアカシアは、白い花が咲く、私の実家にあったアカシアではないだろうか。
しかし残念なことに、この木はニセアカシアだという。
例によって、輸入された時の何らかの手違いでこうなったのだ、と推測する。
「豆腐」と「納豆」のように。
私が手に入れたアカシア スノウリバーは、やはり夕方から眠っているようだ。
フニャと元気がなくなるのでびっくりするが、翌朝爽やかな顔をして風に揺れている。
わが家に来てまだ6日しか経っていないが、上部が少し成長したような・・・・・。
この木はネムノキ属らしい。
だから眠る。
ひょっとしたらこの木は、動物のように仮眠して、夜の間に体を休めているのかもしれない。
細く、しなやかに美しい葉は、水分が充分に行き渡ってこそ。
昼間、その優美な姿で光を吸収するためには、夜間の休息が必要なのだ、きっと。
世界中にあふれる植物の、ほんのひと握りしか目にしていないけれど、各々の進化の妙に心奪われる日々を過ごしている。
(玉麗)