ウチの子②

”良い声やねェ”と言うと、“リッリッリッ、リッリッリッ、リッリッリッ”と続けざまに鳴いてくれる。

でもそんなところに入ってたらごはん食べられへんよ。やっぱり出してやらんとアカンねェ。

リビングの真ん中にビニール袋を置いて、“リッリッ”を捕まえることになった。

『ア、ビンの中!』目ざとい娘が早速見つけてくれた。もも・りんごジュース。高級品嗜好やねェ。ビンの中で、1.5センチのカネタタキが触覚をプルプルさせていた。

ビンの口に和紙でフタをして、小さな穴を開けた。“リッリッ”はまたしても捕われの身になった。

もう鳴いてくれない。雨が降るらしいから今放してやったらかわいそうか。いやいや、一刻も早く他の虫達のように自由な身にしてやった方がいい。部屋の中とはいえ、外に出たら、あんなに楽し気に鳴いていたではないか。

ビンを大事に持って外の花壇の前まで行った。雨がしょぼついてきた。寒くないだろうか。一瞬迷ったが、ビンを出やすいよう横にして、人目のつかない植え込みの奥の方へ置いた。

コオロギが鳴いている。カネタタキも。ウチの子、仲間に入れてやってネ。

(玉麗)

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA