ウチで生まれた訳ではないけれど、“ウチの子”になった、いきもの達。
カエルのエサに捕ってきたゴミムシのたぐいの中に“リッリッ”がまぎれこんでいた。カネタタキのことだ。
この子もしばらくの間、“ウチの子”になっていた。いつか草むらに放してやろうと思いながら、きゅうり、メダカのエサなどを与えて飼っていたところ、フタを開けた時外に出てしまった。
夜のことでもあったし、ベランダは植木鉢がいっぱい。とても探すことは出来なかった。
次の日、倉庫の後ろでリッリッリッと鳴く。捕われの身の間は一度しか鳴かなかったのに!
でも外に出たら食べるものどうするの?きゅうりとメダカのエサを皿に入れて近くに置いてやったが、食べた気配はない。
3日後、掃除の時ベランダ側の私の寝室の窓を開けた。その時入ったのだろう。ベッドに入って眠ろうとすると、胸元でリッリッリッと音がする。
エッ???目覚まし時計の音じゃないよねコレと思ったが、疲れていたのでそのままウトウトした。
“リッリッリッ、リッリッリッ”
やっぱりすぐそばにいるナァ。“リッリッ”は心地よいリズムで私を眠りへ導いた。
翌日、特別教室で忙しかった。その間にリビングを通り、キッチンを抜け、洗面所まで行ったカネタタキは、洗濯機の中で歌い出した。
アラマア、困った子やねェ。明日洗濯出来ないよと何度か呟くと、いつの間にかキッチンへ移動していた。どうやら空き缶や空ペットボトルをポイポイ入れているビニール袋の中らしい。
大きな声でリッリッリッと楽し気である。“この子お母さんのこと好きみたいやナア、声に反応してるよ” 娘が言う。
(玉麗)