シイタケばあさん

若い頃は、新しいもの・ことをスンナリ受け入れることができる。

順応性が備わっているからだ。

年と共にそれは摩耗し「新」と名のつくものにむしろ拒否感さえ覚えるようになる。

困ったことだ。

新しい冷蔵庫を前にしてウロたえる私に、娘はきっと言うだろう。

シイタケばあさん、しっかりしてよ。

 

冷蔵庫はガラストップで、扉に磁石がくっつかない。

私達は教室の帰りにホームセンターへ寄った。

ボードを手に入れて壁に取り付けようとの算段である。

冷蔵庫には、いろいろ貼り付けてメモ替わりにするものなのに、それができないとあっては、この手でいくしかない。

しかし・・・・・。

マンションの壁は釘類が打てない。

ボードを掛けるにはどうしたらいいか。

家にあるもので間に合わせようとすれば、工夫が必要で、しかしそれは少々見バが悪くなる。

マア仕方ない。

とりあえずこの方法で行くか、となった。

片方は棚に、片方はカートンと呼ばれる釘類で止めて、何とか使えるようにした。

釘を抜いた穴は割りバシを削り、埋めて金槌でトントン。

その様子を見ていた娘が、シイタケばあさん健在だったわ、と笑う。

 

工具類を使って何かをしている時の私は、真剣そのものなんだけれど、側から見るととても楽しそうで、まさにシイタケばあさんなんだそうな。

そう言われて喜んでいいのかどうか・・・・

マア、悪いことではないだろうとは思っている。

10日もすれば、新しい冷蔵庫とも仲良くなれるだろう。

(玉麗)

*シイタケばあさんとは・・・ある漫画に出てきた、山で1人で暮らすおばあさん。
きのこをとって食材にしたり、大工仕事も全部自分でやるたくましい女性。

 

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