うれしい柑橘

昨年ほんのり色づいたと書いた日向柑、日増しに黄味を加えながら、幹にガシッとしがみついて、寒風に耐えている。

他のみかん類が糖度を増し、次々と出荷される中で、この種は素知らぬ顔で初夏を待っている。

わが家の貴重な2個にも、その時までは身じろぎもしない覚悟がほの見える。

その様子はがんこな職人の趣すら感じられる。

とにかく花が咲いて実が成り、熟れるまでに1年以上を要するのだから。

そうやすやすと人間の口に入れるものではない孤高の有様は、ひとたびそうなった時の高貴な味わいで、全て納得でき得る事なのだ。

柑橘類の姫君と、密かに名付けているのは当然の事だと言える。

しかし・・・わが家のあの者達が、そのような種族の仲間入りが可能なのだろうか。

どう見ても、鄙(ひな ※田舎、の意)丸出しの、愛しの2ツ。

もう10カ月ほど楽しませてもらった。

さらに半年はかかるような気がする。

どんな味になるのかと、見るたンびに心躍らせて、以前奇跡的1コを味わった紅甘夏柑のことなども思い出している。

柑橘は良い子達だ。

(玉麗)

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