行きつけの店 『衣』

行きつけの店がある。

こう書けば、なんだか豊かなヒトのように
聞こえるが、そうでもない。
サイフの中味はいたって軽い。

ではなぜ行きつけの店と言えるのかというと、
あまたあるお店の中で、そこでしか
買わないからだ。

“主にバーゲン期間中”
の制限はつくものの、必ず来てくれる客は
お店からは上客の次の次くらいには
扱ってくれる。
スタッフとも仲良くなったりする。

私と同じ年だと彼女は言ったが、
まさか!ホント?と私は驚く。
つまりとても若く見えるのだ。

小さい頃から洋服が大好きで、
朝、好みの服が出ていなかったら
(つまり洗濯しているとかで)
学校へ行くのをイヤがったというから
筋金入りのおしゃれさんだ。

彼女がいたら、アレコレ着させてもらって
おしゃべりして1時間ぐらい
上手に遊ばせてくれる。

いろいろ試着して気に入ったものを
“コレください”となるのだが、
押しつけがましくないところが嬉しい。

“ア、やっぱりこっちの方がいいかナ”
なんてことになって、先に決めたのより
値段が安くなったとしても
絶対にイヤな顔をしない。

客の立場になると気まぐれで無責任なものだが、
それは行きつけの店では通用しないと
思わなければならない。

気分よく迎えてくれる店は、客側もそれなりに
気を遣わねば、次に行く時に足が重くなる。

気分転換の買物ができる楽しい店が
撤退すると、世界が狭くなったような気がする。
今行っている店が、永続してくれることを
願っている。

(玉麗)

*画像は雪の行きつけのカフェ「T」

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