八月尽

8月が終わる日。
夏の終焉の日。
8月31日は今までそのように認識されてきた。
私の意識の中では。

しかし、今年は夏が終わる兆候がない。

小さいくせにやたらと威力があって、ブインと音がした時にはもうすでに3カ所は刺されている。
そんな難儀な蚊だけは、忘れることなくこの時期に現れた。

うっかり家への侵入を許したようで、書いている間に4カ所も刺された。

昨年までは、どんなに暑くても密やかに秋を感じさせてくれる八月尽であった。

それが、涼という字は皆目見当たらず、ただもう暑い。
しつこく暑い。

夏は図体がデカすぎて、後押ししてやらねば退場できない。
雨や風のエネルギーで追っ払うしかない。

けれども強大なものは力加減をわきまえない。
全てを薙ぎ倒して、夏をかっさらっていく。
台風を乞うわけにはいかない。

自然に抗ってきた人間は、熱を放出しすぎたのだろう。

今夏の暑さ、暑さに中休みがあったことなどを思うと、自然からの反撃は強まっている。

来年の八月尽に、私は何を書くのだろう。

(玉麗)

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