風太を思いながら

蛙のことを書いたら、やはり風太の写真に目が行く。
風太クン、妬きもちやかんといてナ。

耳をピンと立て、目には憂いを含んでいるが口角は僅かに上がっている。私の腕の中でどこか遠くを見ている風太の写真は、食卓の上にいつも飾られ、私達と共に在る。

風太が人間でいえば12、3歳の少年の頃、大阪の北部にたぶん大阪ではいちばんと言われる規模のペットショップがオープンした。

しばらくして落ち着いた頃、“愛犬と同伴でどうぞ” とのレストラン(ショップ最上階にあった)へ行った。

大型・中型・小型の犬達を連れた飼い主が、丸いテーブルでそれぞれの犬達と食事をしていた。

犬達はよく躾けられていて、騒ぐ子は一匹もいない。床に座ったり飼い主に抱かれたりして、与えられる犬用の食事を食べていた。

風太は私のひざでおやつをもらって食べ、私達が食べていたお皿をじっと見ていたが、とてもいい子にしていたと記憶している。

食事が終わって下の階へ移動。そこでは、ガラスケースの中でかわいい子犬達が愛嬌を振りまいていた。風太は私に抱かれ、肩越しに後ろを見ていた。

その時、忙しそうにしているスタッフの1人が風太を見た。そして私に言ったのだ。『こんなキレイな犬を見たのは初めてです!』

ミス・トリマーは大きな目をさらに大きくして、『私、トリマーになってけっこう長いンですけど、今まで会ったワンちゃんの中でこの子が一番きれいです』と2度も褒めてくれた。

風太は褒められてまんざらでもなかったのだろうが、ミニチュアピンシャー種の性格(飼い主以外には慣れない)を色濃く持っているので、子供で言えばはにかんだような顔で、ミス・トリマーの方を見ていた。

彼女はその様子をことさら愛おしそうに見つめて、手を振りながら仕事に就いた。

今でも時々このシーンを思い出して、一度コンテストに出場させていれば、実証できたのにナァと思ったりする。

(玉麗)

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