わが家には、風太が今も息づいている。
あちこちに飾られたリアルな絵、写真などに囲まれて私達は生活している。
ライブが終わって、疲れてボーッとしている私を励まそうと思ったようで、娘が自室から「ちょっと来て」と呼ぶ。
パソコンの中で、風太の映像がピョンピョン跳ねていた。
ミニチュアピンシャー種の戌は、生まれつきのショードッグで、その愉快な動きは家族だけを喜ばせるためのもの。
つまり、他人にはとても素っ気ない。
とくに風太はその傾向が強かった。
家族以外の人には知らんぷりをしたり、スッといなくなったり、私の膝で寝たふりをしたり・・・。
ところが私達だけになると、瞳がキラーンと輝き、動きが激変する。
今はビデオという素晴らしい機器があるので、風太のかつての生き生きとした動きが何度でも再現できる。
娘は風太の子犬の時代を、克明に記録しておいた。
そしてそれを編集し、風太がいかに私達を楽しませてくれたかを実証する、一遍の映像集を作ってくれた。
この映像を文章で綴るには、売れっ子の作家でもたぶん無理だと思う。
それほどテンポが速く、爆笑の連続で、私は泣き笑いをしながら20分間を過ごした。
ボウッとした体に活気が吹き込まれ、快い疲労と共に就寝、朝まで一度も目を覚まさなかった。
娘よ、ありがとう。
風太、母さんはうれしいよ。
(玉麗)