使者は龍か

夜半、賑やかな音で目が覚めた。

雷である。

稲妻もビカビカ、ロールカーテンの隙間から入ってくる。

今回の絵を描く時、私は天上の神々に願かけをした。

描けるまでは、何とか筆を持てる程度の元気を与えたまえ、と。

やっと描き上がった絵の中には龍がいる。

龍は古来より神のしもべと定義されている。

私が描いた龍も目も入れられたとたん、天上と交信したのだろう。

 

「玉麗の絵、完成しました」

そうか、これは祝祭なのだ。

 

神様、仏さま、ご先祖さま、その他天上のずっと上つ方におられる神々が、雷神の鳴物入りで大阪の空へ降臨、久しく会わなかった神々は、同窓会よろしくお祭り騒ぎを楽しまれたのだろう。

 

そういえば、雷鳴も稲妻もいつもよりは長い時間続いていたような・・・。

昼間でもなく、夕方でもなく、夜の1時過ぎに参集したのはきっと、訳がある。

雑多なことが見えない夜は、雷神もあっちこっちに気が散らず、BGM役だけに徹することができる。

 

神々は大阪の空で舞い踊り、十分に楽しんで去って行った。

私はベッドの中で、怯えることもなく半ば寝ぼけた状態で、その響宴を聞いていた。

 

朝、娘に「雷鳴ってたナア」と言うと「知らない」と返ってきた。

そうか、あれは時々現れる私だけの現象か。

教室へ出て雷の話をすると、もの凄い音しましたよ、と。

なるほど、わが家の頭上には、怖がらせない程度に、とのお達しがあったのかもしれない。

 

願かけをした絵の中に龍がいたことが、幸いした。

私は過去に龍を空に放ったことがある。

あの龍もきっと関与したに違いない。

(玉麗)

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