それにしても暑いですね。
陽が落ちても、あちらこちら、日中にため込んだ熱が残っています。
時刻は夜の9時すぎ。
汗をかきかき荷物をゴロゴロ夜道を帰っていると。
あれ?
前方に見える影。
危なっかしい足取り。
おやおや!
大丈夫ですか?
だって車の少ない道とはいえ、人も自転車も行き交っている。
ちゃんと前が見えているのかヨタヨタと・・・
危ないなあ。
近くで様子を見ていたら、道路を横断しようとしています。
自転車か歩いている人にドン!されたら大変ですよ。
やれやれ。
おせっかいと思いましたが、手を貸すことにしました。
ごめんなさいね、私も荷物があるのでこの日傘につかまってください。
どうぞ。
拒否されるかと思ったけれどちゃんと捕まってくれました。
道を渡った木の陰にお連れして、そこでお別れしました。
もう、大丈夫ですね?
いえいえ、礼には及びません・・・・・・。
ただの通りすがりのおせっかいですから・・・・・・・・・。
スタスタスタ。
ゴロゴロゴロ。
あれれ!
今宵は祭りでもありましたか。
酔っ払いのような足取りでヨタヨタと・・・
思わずかばうように立ち止まる。
私たちの横をシュン!と自転車が通り過ぎる。
ほーら、ごらんなさい。
陽が落ちたといえどもまだまだ人の多い時刻なんですよ。
9時すぎですから。
やれやれ。
おせっかいな夜になりました。
グッとしゃがみこみ、また日傘でごめんなさいね。
おや、すっと手を伸ばして。
通りすがりの私を信用してくださる。
みなさん素直で助かります。
ゴロゴロゴロ。
大きな荷物を持っているものでね。
道を渡ったところ、これは桜の木かな。
ここがベストでしょう。
さあ、高くお登りなさい。
もう、道路を渡ったりしないでくださいよ。
明日もあなたの声で始まる、暑い1日になるでしょう。
(雪)