遅刻こわい

“では13:30、現地集合で”

“了解しました、ありがとうございます”

“10分まえ集合、遅刻厳禁ですよ”

 

このような密会メールのやりとりがあり、
いよいよその日をむかえました。

 

“10分まえ集合、遅刻厳禁ですよ ”

 

密会の場所は、某ホテルラウンジ。

集まるメンバーは私をふくめ3名。

 

“10分まえ集合、遅刻厳禁 ”

 

その日は梅雨の湿気と
もう夏のはじまりを思わせる気温で、
ものすごい暑さ。

緊張まじりにじりじり、
冷や汗ならぬ何汗かが、私の後頭部を
つつーーと流れ落ちてゆきます。

 

“10分まえ集合・・・・”

 

10分まえにギリギリセーフに
某ホテルにすべりこみ、

“よし!!”

ホットな後頭部の状態は、私の後頭部ならぬ
脳裡からはその瞬間消え去り、
まっすぐとカウンターへ直進しました。

後頭部から伝わりおちた汗が首に
大量に集合し、ようやく不快さに
うっとなりつつも、涼しい顔で

『予約の◯◯です』

と格好良くカウンターの女性に告げました。

かしこまりました、という言葉を待つ私に対し、
「おや?はて?」という表情・・・

段取りをして頂いた◯◯さんに限っては
手違いなどあるはずがなく、
念のためと用意してもらったメモを
素早く出し、一緒に確認をしてもらいました。

こちらが詳細です、
会場名は△△、
予約名は◯◯、
時間は・・・・・

 

「すみません、13:30でした」

 

その瞬間、またもや後頭部から首への汗のことは
忘れ去られました。

ただ今の時刻は11:30。

遅刻を恐れるあまりとはいえ、
2時間前は早すぎた。

(雪)

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