チョウとカエルが彫られている。
それを指でツンと突くと、クルッと回って「BOUTIER」の文字が現れる。
ちょっとばかり得意そうな顔をしてこの部品を取り付けてくれた日は、母の日から1週間過ぎた日曜日だった。
『ブーチェ』本体はもうすでに私が愛用している。
けれども、磁石の力を借りて、「ヘーェ、スゴイ!」と私達を喜ばせる工夫を凝らす時間が必要であった。
それで「ブーチェ完成」は少々遅れたのだった。
私と娘は彼の、「オッサンになった今も残っている子供の頃の遊び心」にいたく感激した。
その日は、花台を作ってくれる日でもあった。
私と息子は図面を見ながら色々打ち合わせをしたが、時間が足りなくて結局制作にまでは至らなかった。
この次はいつになるか未定であるが、変更部分があったので図面だけは今日描き直しておいた。
暖かくなってきてブーツを履く日は少なくなったが、この椅子に座るたび口許が綻ぶのを容易に想像出来る。
(玉麗)