シティモへ行っての帰り道、バスの中での出来事である。

私の前に座っていた女性(だと思う)のTシャツが濡れていた。

首の周り(後ろの方)だけだったので、どうしてナンだろうとふと思った。
よく見るとショートヘアーの首筋辺りもワックスで固めたように濡れた感じ。

何気なく見ていた私はギョッとした。
汗が滴り落ちている。

ポトッポトッ と、音を立てて落ちているような気がした。

それぐらいで何もギョッと驚くことはないと言われそうだが、そうではないのだ。

私が目を丸くしたのは伏流水を溜め込んでいる、黒々とした毛髪の下から見えている首の太さであった。

私の2倍はある。
たぶん間違いなく。

帰宅してから自分の首の周りを測ってみた。

28センチと少し。
間違ない、仮に30センチとしても2倍の60センチを輪にしてみたら、そうだ、これくらいあった。

猪首というのはこういうものか。

 

その時、ポトッと大粒の水滴が、私のズボンの膝に落ちた!

うわーーっ 慌ててポケットのティッシュで拭いて、中に染み込むのは防げた。

ウール地だったので、汗は玉となってそこに止まっている、一瞬の間の出来事であった。

他人の首なんぞを後ろからとはいえシゲシゲと見ていると。こんな予期せぬ出来事に遭遇する羽目になる。

帰宅後、ズボンはクリーニング店へ持って行った。

(玉麗)

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