この様子を誰かが見ていたら、
「あーーッ ニットなのに切って大丈夫?!」
と思うに違いない。
でも丁寧に処理すればほつれたりしないことを、過去の修理で経験している。
10センチ長かった袖もチョン切った。そして各々に同じ色の毛糸でキチンと始末したので、半日以上を要した。
この服は、私よりもずっと背の高い人が、カッコ良く着崩して完成するハイレベルの上着なのだ。アクセントに大きな黒い皮製のボタンがついていた。もちろん取り除いた。
これで丈が長かったら買わなかっただろうけれど、幸い小柄な私でも合う長さであったことが、大改造する始まりとなった訳だ。
袖と後ろ身ごろは思ったようになったが、さてこのデレンとした前身ごろをどうする。
ブローチで止めたり、重ね方を工夫してみたが、どうにもしっくりこない。前身ごろはアシンメトリーになっており、深く重ねてもやっぱりデレッとする。
私なこのようなデザインが好きではない。ピシッとしたものを好むヒトには似合わない、と決めつけている。
ピンで止めて被ったり脱いだりしているうちに、「ア」と思いついた。
机の上に形を整えて置き、安全ピンであちこち止めてもう1度着てみた。
ヨシッ これで行こう。首に沿うように折り、前面を重ねて縫い付けた。皮製ボタンに付いていた皮製リボンを大きめのブローチにくっつけ、アクセサリーとした。
“白いカーディガン”はネック部分がアシンメトリーになった“セーター”となった。
デザイナーが見たら唖然とするほど、変身を遂げてしまった。
(玉麗)