羊羹

先日Uさんが羊羹を持って来てくれた。

頂き物だけど、わが家は食べないからと言う。

羊羹はズシリと重く、いかにも高級そうに感じられた。

その日の夕食は、前日の残り物と味噌汁で済ませた。

私1人の時は、食事を作る気が失せる。

さりとて外食で、ともならないヒトなので、いきおいこういうことになる。

 

けれどもデザートはちゃんとある。

柿とりんごと羊羹。

組み合わせはともかく、何とも豪華ではないか。

りんごは自分で買ったものだが、柿は吉野産、大きい、甘い。

Uさんにお裾分けで持って行こうと思っていた。

なのに当日朝バタバタしていて忘れた。

で、向こうからもらってきた。

 

羊羹は初めて食べる味であった。

透き通るような生地の中に小豆がいっぱい入っている。

あまり甘くない。

寒天の歯触りが絶妙で、プリッとした小豆と一緒になって口中で混ざり合う。

美味しい。

 

実は羊羹は少しばかり苦手であった。

甘いから。

けれども名古屋産のそれは、程よい甘さでしつこさが全くない。

ちょっとだけ味見のつもりで切って口に入れたら、これはイケるとなって、結局1.5cmほど食べてしまった。

 

羊羹は和菓子の代表。

昔は客に出すのに、やっと立つぐらいの厚さに切るのが庶民のやり方であった、と落語にある。

向こう側が透けるくらい、とも形容された。

書家榊莫山が好んだと本で読んだ。

この羊羹なら、私も好物のひとつとして挙げられると思いながら、少しずつ楽しんでいる。

(玉麗)

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