風太の一周忌がやってきた。
思い出しては涙を流していた私達もどうやら立ち直り、でも愛犬は風太以外考えられない思いは今もゆるぎなく、わが家のリビングには風太の絵や写真が存在をアピールしている。
1年前の夜、入浴中の私のところへ風太を抱いて、娘が「下半身が冷たいから暖めてやって」と言ってきた。
元気がなかったが、しばらく湯船で温めてやると、心なしかシャンとしてきた。
けれども活性化するとケイレンがやってくる。
娘のベッドへ寝かせると、荒い息が少しずつおさまり、スースーと寝息を立てるようになった。
そしてそのまま安らかに旅立った。
葬送の時、白やピンクの花々で風太を飾り、枕辺に真っ赤なラナンキュラスを置いてやった。
外側には50種の食べものの絵、内側には龍、和紙を張った箱舟は、風太を天空の国へ運んでくれたはずだ。
風太が目覚めた時、もう病いも老いも消え失せて、覚醒した小さな龍の背に乗って、どこへでも自由に行けるように。
願わくば、時々帰ってくれるように。
ラナンキュラスはラテン語で蛙を指す。
3匹の蛙達は、空の彼方から風太が寄こした使いかもしれない。
そんなことを思いながら、「風太と蛙」の絵(27周年展出品作品)を描いた。
天国で暮らしている風太のものがたりを一周忌に本にしようと考えていたが、やはりまだ無理なことであった。
(玉麗)