ヒマワリだけ描いて、しばらく壁にかけたままになっていたお軸、やっと描き上げた。
ヒマワリはこれだけで主役になる。
脇の空白に描き入れるものに悩んでいた。
マチルダさんが魚の絵のついたチョコレートを、来日した両親のお土産だと言って持ってきてくれた。
教室全員1尾ずつ配ってくれた
そして私たちには、別にカモメの玉子そっくりのチョコレートもプレゼントしてくれた。
ア、これを描こう。
しかし、ヒマワリとの組み合わせが難しい。
第一、チョコレートらしく描くにはどうしたらいいか。
しばらく考えたが、これで行こうと案がまとまった。
ヒマワリは竹筒の花瓶に挿している。
竹筒はついさっき切って作ったばかり、笹の葉が少しついている。
テーブルに飾って置いたら、開けた窓からスズメが入ってきて、その小枝に止まった。
スズメは、ン?卵がこんなところに??と思ったか、視線を追うと卵に行き着く。
絵は見る人の想像力に任せられる。
と言ったって、描いた人の意図を推し計るのは難しい。
ましてや、リアルに描かれた油絵とは違う。
この楕円状のものが、はるかフランスからやってきたチョコレートだとは誰も知らない。
画家は1人だけの楽しみとして絵を描くことも、往々にしてある。
お軸の箱書きはヒマワリ・マチルダと書いておいた。
この絵を見る時、私は3カ月ほど弟子になってくれた西洋の国フランスの女性を思い出すだろう。
マドモアゼル マチルダ、数ある教室の中で玉麗会を選んでくれたあなたに、この絵の画像を贈ります。
(玉麗)