自分が選んだものが他の人の目にとまり、ア、いいですネと言ってもらえる、それは手に入れた喜びと同じくらいうれしいことだ。
先日、用があって娘と梅田へ行った。2人一緒に街へ出ることはめったにない。昼食を済ませデパートを見て歩くことになった。
秋の服一着くらいならと心づもりしていたが、これがナカナカ決まらない。あっちこっちウロウロ、いいと思ったら着てみたら?と薦めるが、どれも似たり寄ったりで気に入るものがない様子。
そろそろ私が疲れてきてトボトボ歩き、イスがあったらすぐ座る状態になった頃、やっと試着室から笑顔が見えた。
そうやって苦労の末(私だけか?)見つけた服を初めて着た日、Mさんが言った。「ア、雪先生、その服もしかしておニュー?」
聞き耳を立てるとはこのことか。私の口許がニンマリしたのはもちろん、娘の声も弾んでいた。アリガト、Mさん。
別の日、私が肩に掛けているトートバッグを指さして、「ソレってワンコ?」「いや、元はニャンコ。耳を長くしてワンコにした」「エーッ、何で描いたの?」「マジックインキ!」
こんな会話をしてくれた友人。この人もハイな気分にしてくれる1人である。
自分のことばかりアピールする人が多くなった昨今、相手のこともほんの少し気にかけるクセを身につけると、世の中小さな幸せでいっぱいになる。
(玉麗)